2025年6月25日

認知症とお金──「もしも」に備える財産管理
~自分と家族のライフプラン~

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認知症とお金──「もしも」に備える財産管理

高齢社会が進む中、避けて通れないテーマのひとつが「認知症とお金」の問題です。
2040年には「認知症」の人が全国で約584万人。「軽度認知障害」の人が約612万人に達すると推計しています。これからの時代、いざというときに本人や家族が困らないよう、“早めの備え”がますます重要になっています。

こうした背景を踏まえ、国も2024年1月に「認知症施策推進基本法」を施行。
“認知症になっても尊厳を持って安心して暮らせる社会”の実現に向け、法律や支援制度の整備が進みつつあります。
しかし、財産の管理や引き継ぎの問題は、制度だけでは補いきれないのが現実。だからこそ、欠かせない個人の準備についてお話しします。

認知症になると、財産が“凍結”される?

認知症が進行すると、銀行口座の引き出しや不動産の売却、契約行為といった日常の財産管理が、本人では行えなくなります。
しかも、たとえ家族であっても「勝手に使った」と見なされる可能性があり、法的な手続きを経なければならないケースも。

つまり、何も備えていないと、財産が“凍結状態”になり、必要なお金が使えないというリスクが考えられるのです。

財産を守る覚えておきたい3つの方法

任意後見制度(元気なうちに備える)

まだ判断力があるうちに、「この人に将来の財産管理を任せたい」という希望を公正証書で契約しておく制度です。
発効はすぐではなく、将来、認知症などで判断能力が低下した時点で効力が発生します。

【具体例】
70歳のAさんは将来を見据え、長男と任意後見契約を締結。
将来的に認知症などで判断能力が衰えた場合、長男が正式に後見人として財産管理や介護施設手続きなどを担うとした。
参考:任意後見制度とは(手続の流れ、費用) |厚生労働省

法定後見制度(すでに判断力が衰えているケース)

すでに認知症を発症し、ご本人の意思確認が困難な場合に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。
本人保護のための法的枠組みですが、柔軟な資産運用や相続対策には向かない側面もあります。

【具体例】
認知症を発症していたBさんのケースでは、親族が家庭裁判所に申し立て、司法書士が後見人に選任された。
これにより不動産の売却や介護施設の費用支払いが可能になった。
参考:法定後見制度とは(手続の流れ、費用) | 厚生労働省

家族信託(柔軟で新しい選択肢)

最近注目されているのが「家族信託(民事信託)」です。
元気なうちに、自分の財産を信頼できる家族に託し、将来の管理や処分を任せる仕組みです。設計の自由度が高いのが特長です。

【具体例】
不動産オーナーのCさんは、自宅と賃貸物件を長女に信託。
将来、認知症を発症した後も、長女が賃貸管理や売却を行えるように設計。
信託契約内に将来の相続に関する意向も組み込み、スムーズに引き継げる体制を整えた。

「元気なうちにできること」

「元気なうちにできること」

当事者が元気なうちにできることを家族や親族と検討しましょう。
考えるのは「まだ早い」と感じる段階にいるならば、比較的選択肢が広く自由度の高い設計が可能になります。

元気なうちに備えられる具体的な方法(一例)

・信頼できる家族との任意後見契約
・家族信託による資産管理の委託(不動産や預金)
・公正証書による遺言作成と資産の分配設計
・金融機関での見守り型信託サービス(判断力低下時の自動制限など)
・財産目録の作成と保管、エンディングノートの活用

参考にしてくださいね。

「もしも」に備えるライフプラン

まとめると・・
①認知症になると、本人名義の財産は原則として“凍結状態”になる 
②家族であっても、法的な手続きを経ないと管理できない
③任意後見や家族信託は「元気なうち」でなければ契約できない
④「誰に」「何を」「どう託すか」を考えることが備えの第一歩

資産形成と同じくらい、資産を“守る”ための準備も大切なライフプランの一部です
認知症は誰にとっても他人事ではありません。
認知症1,000万人時代が来る前に、自分と家族の財産を守るライフプランを立ててみてはいかがでしょうか。

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