2025年8月4日

家族が認知症に…そのとき保険はどうなる?

  • 保険について
家族が認知症に…そのとき保険はどうなる?

この記事は、[認知症とお金──「もしも」に備える財産管理~自分と家族のライフプラン~]の続きです。前回のコラムをまだお読みでない方は、ぜひそちらからご覧ください。

高齢の家族が認知症と診断されたとき、日常生活だけでなく「お金の管理」についても心配が広がります。
その中で意外と見落とされがちなのが、契約中の保険についての備えです。

家族の保険の契約は全て把握していますか?
認知症になったとき、どんな課題があると思いますか?実は、認知症になると保険の手続きや請求ができなくなるケースがあるのです。

保険契約の手続きができなくなる?

生命保険や医療保険は、契約者本人が手続きを行うことが原則です。

しかし、認知症になると「意思能力(自分の判断で契約内容を理解し、決定できる能力)」が低下し、以下のような手続きが本人ではできなくなる可能性があります。

制限されるおもな手続き例

保険会社は、意思能力が不十分と判断された契約者については、「後見人などの法的な代理人が必要」とするのが一般的です。

つまり、家族が代わりに手続きをしたくても、直ぐには進めない状況に陥ってしまうのです。

●生命保険・医療保険の場合

代表的な契約内容:死亡保険、医療保険、がん保険、介護保険など

具体的な手続き(一例)          
・保険の解約や契約変更
・受取人の変更
・給付金
・保険金の請求

生命保険は被保険者(保障対象者)と契約者が別のケースもあるため、どちらが認知症になったかで対応が変わります。
契約者が認知症の場合は、手続き全般に法的な代理人(例:成年後見人)が必要になる可能性があります。

●損害保険の場合

代表的な契約内容:火災保険、自動車保険など

具体的な手続き(一例)          
・保険の更新や解約
・スムーズな事故後の保険金請求
・全体的に保険会社との意思疎通が難航する

損害保険も「契約者が本人であること」が前提のため、認知症が進むと事故の報告や請求手続きに支障が出る可能性があります。
たとえば、高齢の親が運転中に事故を起こし、本人が認知症で状況を説明できない…といったケースでは、家族が代理でやりとりする必要が出てきます。

●共通するポイント

・契約者の認知症で手続きや請求が制限される
・家族が代行する場合は、委任状や法定後見人が必要
・保険会社ごとに対応が異なる

その他にも、 ”保険料の引き落とし口座の変更” ”契約内容の見直しや保障額の変更”なども難しくなります。

認知症になる前にできること

□ 委任状の準備

軽度の段階であれば、家族への委任状を作成することで、一定の手続きを代行してもらうことが可能です(保険会社によって対応範囲が異なります)。

□ 保険証券の保管場所を共有

「そもそも何に入っているのか分からない」という声も多く聞かれます。
認知症になる前に、証券のコピーや保険一覧表を家族と共有しておくと安心です。

すでに認知症が進行している場合

認知症が進行し、自分で意思表示ができない状態になっていると、原則として契約の変更・解約・給付金請求などの手続きはできません。

その場合に必要になるのが…

□ 成年後見制度(法定後見制度)の活用

家庭裁判所に申し立てを行い、「成年後見人等」が選ばれると、その人が代わりに保険の手続きなどを行えます。
ただし、手続きには数カ月かかることや、費用(数万円~)もかかるため、事前の準備が重要です。

参考:ご本人・家族・地域のみなさまへ(成年後見制度とは) | 成年後見はやわかり

そもそも、どんな保険を契約しているのか把握していないとき…

□生命保険契約照会制度の活用

認知判断能力が低下した場合(医師による診断が必要です)に、保険契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を、生命保険協会の会員会社である生命保険会社に確認する制度です。
有償で調査してもらえます。
詳細は ☞ 生命保険契約照会制度のご案内 | 生命保険協会

早めの確認・共有が家族を守る

保険は「契約したら安心」ではなく、「いざというときに使えるかどうか」が大切です。
家族が認知症と診断される前に、以下のチェックをおすすめします。

①保険証券・契約内容を家族で共有
②委任状の有無を確認
③認知症になってしまった場合の保険会社の対応を調べ整理する
④成年後見制度(任意後見制度、法定後見制度)について学んでおく
⑤今後も必要な保険なのか否かを検討する

”そのとき”に困らないよう、「今できること」を家族と一緒に始めていきましょう。

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